断熱性能・冷暖房効果を向上させる複層ガラスの引き戸に玄関ドア交換
40年以上使用され、断熱性や防犯性の不安からリフォームをご希望でした。ビフォーアフター



工事基本情報
- 建物種別
- 戸建
- メーカー
- YKK AP
- 費用
- 364,650円
- 枠タイプ
- 引戸
- 商品名
- A15/ひのき
初回点検の様子


トステムのステッカーが大変懐かしく感じますね。お客様宅の既存玄関はトステム(現リクシル)の一番町シリーズのアルミ引き戸です。和風住宅にマッチするようデザインされた一番町シリーズですが、現在はLIXILが和風引き戸として販売を引き継いでいます。
トステム時代の玄関ドアということであれば少なくとも10年~15年が経過しているということになります。アルミ引き戸の耐用年数は、立地にもよりますが20年~30年程度ですから耐用年数的にはまだまだ現役だと言えますよね。


アルミ玄関の劣化というと砂埃などの汚れ付着、また汚れの付着や排気ガス、潮風が原因となる錆(白カビ)が大敵ですが、そのような劣化もなく見た目も綺麗です。
お客様自身がこまめにお掃除をされてきたということが大きな一因です。アルミという素材は木製ドアと違い、そもそも塗装に向いていない素材で、塗装によるメンテナンスを行いません。そのためお客様自身が汚れを把握し、こまめに綺麗にしていただくことが素材を長持ちさせる大きな対策となります。
■アルミサッシの引き戸は寒さに弱い
夏はできるだけ涼しく、冬はできるだけ暖かく暮らしたいと誰もがお思いですよね。
言うまでもありませんが冷房の空気や暖房の熱がもっとも逃げやすいのは、玄関や窓いったお住まいの開口部からになります。
さらにお客様宅の引き戸の素材は「熱や寒さを伝えやすい」アルミであるがゆえに、お客様は特に冬、玄関が寒いことを大変気にされていました。
毎年秋ごろからはテレビCMでも頻繁に流れる「窓交換による寒さ対策・断熱対策」ですが、同様に玄関ドアも断熱性の高いものに交換することでお住まいの断熱性能や保温性能を高めることが可能です。こうしたことから今回は玄関の断熱性能、遮熱性能を高めるためのご提案をさせていただきました。
■既存の引き戸を撤去します


カバー工法を行うにあたりまずは既存の引き戸を撤去し、アルミサッシに埋め込まれているビスやストライク(鍵受け)などをすべて取り外し、出っ張りをなくしていきます。


不要なものをすべて撤去し、既存の枠のみが残った状態です。
「玄関ドア交換」と聞くと新しいドアを取り付けるため、古い枠が残っていては邪魔じゃないの?と疑問を持たれる方も多いのではないでしょうか。当然サイズ等が既存の玄関ドアと新しい玄関ドアとでは異なることもありますし、新しい玄関ドアとのデザインがマッチせず外観もチグハグなものになってしまうので「大丈夫?」と気になって当然ですよね。
今回行うカバー工法では既存枠を残した状態で、内側に新しい玄関ドアの枠を設置し、さらに見た目を新しい玄関ドアとマッチさせるために化粧カバーを被せます。そのため既存の枠が残っていても問題がないんですね。
「カバー工法」という施工方法が登場するまでの玄関ドア交換というと、枠を固定している周囲の外壁も取り壊したうえで枠を撤去し、新たな枠を設置・固定した上で改めて外壁を作り直す必要があったため現在のカバー工法のようにとても一日で終わるようなリフォームではありませんでした。しかし現在では玄関ドア交換のほとんどがこのカバー工法で施工されます。既存の外壁や枠をそのままにした状態で交換を行うことで短工期・低価格でリフォームすることが可能になったのですね。
■新しい玄関枠を設置します


既存の玄関枠の内側に新しい玄関枠を取り付けていきます。
片開きの玄関ドア交換であれば通常一人でお伺いし、作業させていただくことがほとんどですが引き戸の場合、同じYKK APのドアリモでも片開きと引き戸では枠の幅が倍以上違うため、支えた上で丁寧に施工を行うため二人で行わせていただきます。


新しい枠を仮設置していきます。枠の色からお分かりいただけるかもしれませんが、新しい玄関ドアはひのきの木目調デザインをお選びいただきました。既存のダークブラウンから明るい色へと一新されますね。


下枠の設置の様子です。枠を設置する際に注意しなければいけない点は「水平・垂直に固定する」ということです。歪みや傾きは玄関の開閉に影響を及ぼしますので水平器を用いて正確に水平・垂直を計った上で固定をしていきます。


網戸を入れ、開閉のテストを行い、スムーズな動きが確認できた上で仮設置した枠を固定していきます。このような確認作業を都度行いながら、作業を進めることが非常に重要となります。リフォームというのは新しく取り換える製品の良し悪しが生活の質を向上させることは間違いありませんが、それを施工する工事品質も当然ながら無視することはできません。
お客様に新しい製品を心地よく、末永くご使用いただくため私たち街の玄関ドアやさんも一つ一つの工程を正確に、そして確認を怠ることなく進めてまいります。


枠の設置が完了しました。いよいよ次は引き戸の吊り込みを行います。
■玄関ドアの吊り込みと化粧カバーの設置


新しい玄関ドアの吊り込みが完了です。「吊り込み」という言葉に聞きなじみがないという方も多くいらっしゃいますよね。建築用語で枠に建具を設置することを「吊り込み」と言います。職人さんが「今から、吊りこみを行います」と言っていたら、それは枠の設置が完了し、真新しい玄関ドアの取り付けを行うということになります。
どうしても職人・スタッフ同士のコミュニケーションにおいてはこのような専門用語が出てきてしまいがちになりますがお客様も「そういう意味なんだ」とご理解いただけると「今から新しいドアがいよいよ設置されるんだな」とわかりますね。
現状では既存のアルミ枠が外側から見えてしまっています。次の工程で化粧カバーを被せていきます。


まずは化粧カバーを玄関の幅に合わせて加工を行います。玄関の高さや幅はお客様宅によって違うため、このように現場で計測しサイズに合わせて加工します。こうしたミリ単位での加工作業は経験がモノを言う職人の腕の見せ所でもありますね。


こちらは上枠の化粧カバー設置前の様子です。玄関内側から撮影した写真ですが既存の玄関枠が見えますね。化粧カバーの設置は玄関内側を最初に行い、仕上げに外側という順序で行っていきます。


加工した化粧カバーを固定していきます。見た目にも左右する工程ですので傾きや曲がりがないよう丁寧に設置します。


玄関内側の化粧カバー施工後です。引き続き左右枠に見えるアルミ枠部分の化粧カバーを設置します。


化粧カバーを傷つけないように間にスポンジを噛ませ、金づちで押し込み、固定します。


仕上げとして外側の化粧カバーを取り付けていきます。ここまでで玄関の外観の仕上げは完了となります。施工前の玄関とは色も模様も変わり、明るい印象となりましたね。
■コーキングにて玄関枠の防水処理を行います

見た目も新しくなった玄関、いよいよカバー工法最後の工程「コーキングによる防水処理」となります。設置された化粧カバーと外壁との取り合い部分を見るとわずかな隙間が存在しますが、この隙間を埋めて雨水の浸入を防ぐための防水処理を行います。


マスキングテープ(ご覧いただける青のテープ)にて養生を行います。マスキングテープとはコーキングまた塗装の養生時に使用されるテープのことで、施工箇所以外をコーキングや塗料で汚さないための保護として養生する際に使用します。養生はコーキング処理の見た目を左右する重要な工程と言えますね。
またテープを貼り付けてしまうと剥がすときに汚れてしまうのでは?と気になる方がいらっしゃるかもしれませんね。ご安心ください。そもそもマスキングテープは養生時に使用するテープで剥がすことを前提として作られているため、剥がした際に汚い跡が残ったり、糊残りを起こすことはありません。


コーキングガンにて隙間にコーキングを充填していきます。
庇があるため直接紫外線を浴びたり、雨にさらされることは少ないとはいえわずかな隙間があれば風に運ばれた雨水や埃が入り込んでしまいます。そうしたリスクを最大限に減らすため耐候性、耐久性の高い変性シリコン樹脂にて保護します。ただしコーキングの寿命は長くても10~15年程度ですので、経年劣化によってコーキングが剥がれてきてしまった、ヒビがひどくなってきたという場合は改めてコーキングを詰め直す必要が出てきます。


コーキングの充填とマスキングテープを剥がしたら完了です。上下左右の枠すべての隙間をコーキング処理しました。正確な養生をすることで、仕上がりもこのように綺麗になるんですね。こうした細かな作業も工事品質と言えるのではないでしょうか。
■完工

工事が完工いたしました。
今回お客様がお選びになった玄関はYKK APのドアリモ 複層仕様の引き戸でA15滝格子と呼ばれる商品です。見た目は太さの違う格子が並ぶことで格子戸の単純さを脱却した遊び心のあるデザインですね。
またガラスは複層ガラスとなっており、二枚のガラスと、その間にある中空層という乾燥空気を密閉したスペースがあることによってお住まいの断熱性や冷暖房の効果向上、また結露予防といったメリットを期待することができます。お客様が当初お悩みだった「冬の寒さ」を軽減してくれることでしょう。
また防犯面についても二つしかついていなかった鍵が三箇所に増え、さらにピッキングに強いティンプルキーにしたことで玄関の防犯性も高まりました。
今回はトステム(現リクシル)の引き戸からYKK APの引き戸へとメーカーを変えて玄関ドア交換を施工させていただきました。お客様の中には現在の玄関がリクシルだから、次もリクシルじゃないといけないのかしら?と疑問に思われる方もいらっしゃるかと思いますが、そういうことはございませんでメーカー問わずお客様お選びいただきたい玄関ドアをご自由にお選びいただくことができます。是非玄関ドア交換の際は街の玄関ドアやさんにご相談ください。