色が褪せた木製ドアと硬いサムラッチ錠を玄関ドア交換リフォームで解消

硬い鍵を変えたいとのことでお問い合わせをいただきました。建て付けも悪くなり隙間ができて気になっていらっしゃったとのことです。
お伺いしたお宅の玄関ドアはシンプルな片開きタイプの木製ドアです。長年ご使用されたということで、表面は色褪せや塗装の剥がれなどの劣化が見られます。特に下部分は、紫外線の影響によって白っぽく色褪せてしまっています。こういった場合、木製ドアにおいては「塗装」によるメンテナンスも選択肢に上がりますが、コストもかかり、長く使用したドアは表面以外の他のパーツも傷んでいることが多いのです。玄関ドアに使用される木材は、木の特性である反りやひび割れを最小限に抑える材質構造となっていますが、そちらもそろそろ限度かもしれません。見た目も悪く開閉にも問題がある為、リフォームをご依頼いただき、行うこととなりました。
グリップハンドルの一種であるサムラッチ錠は、「装飾錠」とも呼ばれデザイン性が非常に高いパーツです。ハンドルの上の部分を親指で押し下げて、ラッチを操作することにより開閉できるパーツです。オシャレで一昔前には良く使われていましたが、今は問題があるのであまり使用はされません。それは長年使用していると親指で操作する部分が固くなり、操作がしづらくなってしまうという点です。サムラッチ錠は、構造が複雑なため、DIYによって自分で修理するのが大変難しく、また製造しているメーカーもあまりないため同じものを取り寄せることは難しく、また値段も高価になります。このままだと、押し下げる部分はより硬くなって、最悪故障を起こしてしまうので、交換タイミングです。
玄関ドア交換リフォームにおいて街の玄関ドアやさんで行われている施工方法は「カバー工法」です。元々あった玄関ドアの枠を残して、その上から外枠を被せて、新しい玄関ドアを設置する工法ですが、この工法がスピーディーな施工時間とコストを安価に済ますことができるという点で今までの、玄関ドア交換施工と一線を画す、大変優れた工法なのですね。今までの玄関ドア交換リフォームは既存の部材を壊して、修復する作業が必要でした。そのため工期もコストも、騒音も大きく比較的大規模な工事の部類に入りました。カバー工法はそれに比べて驚くほど早く簡単にできるようになっています。しかも機能面もデザイン面も、従来の工事に比べて遜色なく、ほぼ10割の方がこの工法を選ばれています。ちなみにこの「カバー工法」という施工方法の工夫は建築においてはメジャーな方法で、玄関ドアの他にも各々で工事の違いはありますが、屋根や外壁、窓などにも使われています。
第一工程として、まず玄関ドアのパーツを全て取り外し、玄関ドア本体も撤去し、枠だけの状態にします。これが新しい玄関ドアの基礎となる状態ですね。この時点ではラッチ受けなどが残っている状態ですがこの部分は枠のカバーですぐに隠れます。
■内側に新しい枠を設置し新規の玄関ドアを吊り込みます
古い枠の内側に新しい内枠を設置します。先程のラッチ受けはこの工程で隠れます。内側の枠を仮設置した後は玄関ドアを吊り込みます。玄関ドアの開閉テストや鍵のかかり具合など、開閉の際の問題をここで検証します。この工程では1mmの歪みが命取りになることがあるので、神経を使って慎重に検証していきます。何も無いのを確認した後、新しくつけた内枠をビスで固定します。
既存枠と新規の内枠の固定が終わり、玄関ドアの開閉も問題なさそうです。固定に関してはここでは終わりではないんですね。このままですと既存枠と新規の内枠の間に隙間が出来ています。このまま進めるて完成させても何かの拍子に部材同士がぶつかり、錆や劣化などの原因になってしまいます。また雨漏りも当然心配ですよね。それらを解決するのが次のコーキングです。このコーキングを隙間に埋めることによってこれらの問題を解決することができます。コーキングとは建物とサッシと外壁が接する所にあるゴム状の部材ですね。普段あまり気にも留めない建物のコーキングもこういった視点で見ると建築において大変重要なパーツであることがおわかりいただけますね。
ドアをゆっくり閉めるためのドアクローザーもここで付けていきます。ドアクローザーが無いと玄関ドアは大変危険です。勢いよく閉まってしまうため、指を挟んだりしたら怪我は免れないでしょう。
ここまで終わって、問題があります。それは既存の古い枠がまだ見えていることです。この部分をカバーしてこそ、新しい玄関ドアの新しい様相が見えてきます。内枠、玄関ドア、歪みなどを考慮して、この時点で外枠のサイズが初めてわかります。外枠の製品は大きく作られているものですので、現場でカットして設置していきます。
外枠と外壁の間にもコーキングを施して、無事に施工は完了です!施工時間は何とたったの3時間でした!これはシンプルな片開きドアから片開きドアへの施工だったためです。これがもし片開きドアから親子ドアや、片開きドアから引き戸へ変更などの場合、また長くお住まいの住居によく起こりがちな開口部の歪みなどが見られた場合はもう少し時間がかかります。しかしカバー工法による施工は、たいてい5時間から8時間以内には終わるものが多いです。
■問題のあったサムラッチ錠はプッシュプルタイプのストレートハンドルに変更!
古くなった玄関がすっかり新しくなりました!新しいドアはYKK APの「断熱玄関ドア ヴェナートD30防火ドア」のC08モデルです。お住まいの地域によっては「防火地域」、「準防火地域」と呼ばれる地域にお住まいの方は、お家の開口部の延焼の恐れがある部分には、こういった「防火ドア」を使用することを定められています。こちらの製品は防火性能に対して国土交通大臣の個別認定を受けた玄関で、しかもデザイン面もとても綺麗です。玄関ドアにおいて重要な「断熱性能」も備えており、気候の変化の激しい日本でも一年中快適に過ごすことができますね。ドアノブは既存のサムラッチハンドルからプッシュプル型の丸ストレートハンドルに変更で、固くなったドアノブから開閉が格段に軽くなり「オォ~~!軽い軽い!」と感動していただけました。断熱性能の快適性は、過ごしやすい季節では実感しにくいですが、暑い夏や寒い冬にはきっと大活躍してくれますよ!この度はご依頼ありがとうございました!